最先端研究

SiCはGaNを比較してみた

従来、電子デバイス用としてSi半導体が多く用いられていて長年改良が加えられてきましたが次第に
Siを材料とした半導体製品の大幅な特性改善をすることが限界に近づいてきており、更なる高性能
化のために新たな材料の利用が研究されるようになりました。

 

現在、新たな半導体デバイスの材料として注目されているのがSiC(炭化ケイ素)とGaN(窒化ガリウム)です。
両者ともバンドギャップが大きいことからこれまで青色LEDの発光素子に利用されてきましたが、
Siを利用した半導体素子よりも破壊電界や性能指数がけた違いに大きいため、次世代のパワー半導
体素子の材料として非常に有望であることがわかってきました。SiCとGaN半導体素子を比較した場
合、炭化ケイ素の結晶はダイヤモンドと同様に強固な四面体構造であり、シリコンよりも緻密で安定し
た結晶であることから絶縁破壊強度が高くて活性層を非常に薄くすることが可能ですが、
電子移動度が高くないので高周波領域での使用には不向きです。このため高耐圧でありながら低損
失な素子を作ることができ、モーターなどの高耐圧、大電流を必要とする用途に向いています。

 

これに対して窒化ガリウムを用いた半導体デバイスは炭化ケイ素を用いた半導体よりも破壊強度が弱
いのですが、電子移動度が桁違いに高いため小型・高周波での用途に向いています。SiCとGaNを利
用したパワー半導体デバイスの適用範囲ですが、SiCは1kHz〜数百kHz程度までで、電力容量が
100kVA以上、GaNは数百kHzかそれ以上の周波数帯で電力容量が100kVA以下の使用に向いて
います。現在のところ、炭化ケイ素を用いた半導体素子は大電力を必要とする鉄道車両のモータ
ーの電源装置などへの実用化が進んでいます。一方、窒化ガリウム半導体のほうは高速のスイッチ
ング動作を必要とするような場面(パソコンやサーバー)などのへの利用が予想されています。