最先端研究

炭化ケイ素の熱伝導性について

炭化ケイ素の結晶構造はダイヤモンドと同じ四面体構造で結晶中の原子はお互いに共有結合で結
ばれているので結晶を構成している原子が熱を受け取りやすく、かつ放熱しやすいという性質があり、
セラミック材料の中でも熱伝導性が高い材料のひとつです。熱伝導性が最も高い材料はダイヤモンド
ですが人造ダイヤは非常に高価で大量生産には向かないので用途が限定されています。

 

このため熱伝導性はダイヤモンドと比較して少し劣るものの大量生産が可能な炭化ケイ素が発熱する
機器の冷却材として身近にある器具に多用されており、特に高熱に弱い半導体を用いた電子部品の放
熱材として欠かせない材料となっています。高輝度の発光ダイオード(LED)が省エネで長寿命の照明
器具として白熱灯や蛍光灯から置き換えられて利用され始めていますが、LEDの発光素子は熱に弱い
という弱点があります。

 

このため発光ダイオード内部の半導体素子から発生した熱を効率的に外部に放出するための冷却材
として利用されており、LED照明の長寿命化に寄与しています。パソコン用のCPUも熱に弱いものの演
算能力向上のためにクロック周波数を高くする必要があり、多くの電力を消費して大量の熱を発生しま
す。高性能パソコンのCPUを冷却するためのヒートシンクに効率的に熱を伝えるためのグリスにも粉末状
の炭化ケイ素が含まれている製品があります。

 

炭化ケイ素は数あるセラミックス材料の中で最も熱伝導性が高い材料ですが、いいかえると内部に熱
を蓄積せずにすぐに放熱する性質があるゆえに高温下でも熱膨張や変形が小さく、熱による強度低下
が起こりにくいという特性があります。このため炭化ケイ素は高温下においても機械的な寸法安定性が
求められるような場所でも多用されています。温度変化が生じても高い精度が求められる場面として
半導体製造装置、液晶製造装置、精密ステージの構成部材に使用されています。高温でも高強
度が求められる材料としてガスタービン部品や燃焼器部品にも利用されているのです。