最先端研究

SiCパワー素子の技術開発競争について

半導体の材料として古くから用いられてきたのがシリコンです。このシリコンは半導体として優れた性質を持
っているのですが、耐久性や耐熱性が低いことや、製品としての小型化が難しいといったデメリットも併せ持
っているのです。そのため、製品として応用するのには限界が見えてきていると言えるでしょう。そこで開発さ
れたのが炭化ケイ素です。シリコンに炭素を混ぜることによって、半導体としての性質はそのままにして、
ほかの性質を補うことができます。

 

現在の炭化ケイ素の技術はまだ基本的な状態だと言えるでしょう。半導体の開発ではウエハーを開発し、
そしてそこから素子を作る技術を開発して、最終的にはシステムの開発が進んでいきます。現在のところは
、基本的な部分についてはすでに完成している状態ですが、開発の余地は多くありますから、今後も開発
競争が進んでいくと考えられます。

 

炭化ケイ素を用いてSiCパワー素子を作る際のネックとなっているのがコストです。現在のところはまだコスト
が高く、このコスト低減が必要だと考えられているのです。現在、開発を行っているのは自動車メーカーや
電機メーカーなどです。

 

例えば、世界最大の自動車メーカーであるトヨタは積極的に力を入れています。トヨタの子会社であるデンソ
ーは炭化ケイ素のデバイス研究を行っていて、自動車へ搭載するための技術を開発しています。製品として
実用化するためには、不良品の発生確率を下げることは必須だと言えるでしょう。そのために、現在はウエハー
の歩留まりを高める研究が行われています。

 

このように開発競争が進んでいる理由は、今後は電力を多く用いる社会になるからだと考えられています。
自動車メーカーが開発競争に参加しているのも、電気自動車としての用途を見据えているからだと言える
でしょう。ほかにも、多くの電力を消費する部分や、高温下になる部分などで安定して動く半導体の用
途は今後も増える可能性が高く、そのために炭化ケイ素の開発競争はまだまだ続くと考えられるのです。