最先端研究

炭化ケイ素と繊維

炭化ケイ素はダイヤモンド、窒化ケイ素に次ぐ硬い物質として知られているセラミックス材料ですが、
細長くすることでしなやかに曲がる繊維状の材料に加工することができます。これは硬くて割れやす
いガラスを糸のように加工することでしなやかに曲がるグラスファイバーと同じで、細く長く加工する
ことで耐衝撃性が高くて割れにくい材料にすることができるのです。

 

従来から用いられてきた炭化ケイ素などのマトリックス状態(塊)のセラミックス材料は金属材料と比
較して硬度が高いため寸法安定性や耐摩耗性に優れており熱に強いという利点がありますが、
衝撃に弱くて割れやすいという弱点もあります。ところが近年、繊維化した炭化ケイ素とマトリック
ス状のセラミックスを組み合わせることで、セラミックス材料が持つ高い硬度と強度、耐熱性や耐薬
品性に加えて金属のように衝撃にも強い複合材料(繊維強化セラミックス材料)として利用するた
めの研究が進められており、繊維状の炭化ケイ素と粉末状のセラミックス材料を成型したものを高
温で焼結することで複合化させたセラミックス材料を作る方法が開発されています。

 

複合化させたセラミックス材料は金属よりも高温に耐えることができる硬くて割れにくい陶器で、
ジェットエンジンのテールコーンやロケットエンジンのノズルなど物理的に大きな力が加わり、かつ高温
高圧のガスに晒される部品への応用が研究されています。近い将来、セラミックス複合材料を用
いたエンジン部品が実用化されればエンジンを軽量化させることができるので航空機やロケットの性
能向上が期待されます。このようなセラミックス材料の複合化の研究は日本が得意とする分野の
ひとつです。現状ではジェットエンジンやロケットエンジンで高温のガスに晒される部品には特殊な
合金が用いられていて海外からの輸入に頼っていますが、合金には希少金属が含まれているので
政治情勢の変化により入手が困難になるリスクがありますが、セラミックス材料の原料は炭素やケ
イ素など世界中どこでも入手が可能です。